実践ビジネス英語:retronym(レトロニム)
NHK第二『実践ビジネス英語』、11月のLesson 15のタイトルは 「Loneliness as a Modern Epidemic〜孤独という現代病」です。
その中で”retronym”という興味深い言葉が紹介されました。
レトロニム(英語: retronym)あるいは再命名とは、ある言葉の意味が時代とともに拡張された、あるいは変化した場合に、古い意味の範囲を特定的に表すために後から考案された言葉のことを指す。Wikipediaより
かつて各家庭に1台ずつあった電話は、携帯電話の普及とともに固定電話と呼ばれるようになりました。
従来のカメラは、デジタルカメラの登場の結果、現在ではフィルムカメラと呼ばれています。
ギターもエレキの発明によって、アコースティックギターとエレクトリックギターという名称が用いられるようになりました。
番組では、「snail mail」という言葉も紹介されていました。
これはemailの普及に従って、従来の郵便、mailがpostal mailと呼ばれるようになったのですが、emailに比べて、かたつむりのように遅いからということで『かたつむり便』:snail mailと呼ばれるようになったというのです。
鍼灸治療と美容鍼
この話から鍼灸治療と美容鍼のことを連想しました。
最近は美容鍼がブームになっていて、美容鍼をやらない鍼灸院の方が珍しいくらいです。
帰来堂鍼灸療院でも美容鍼への取り組みを始めています。
最近では美容鍼で鍼灸を初体験し、美容の仕事を志して鍼灸の免許を取得したという鍼灸師も多くいるようです。
その内に伝統的な鍼灸治療は、美容鍼に対するレトロニムで呼ばれるような時代が来るかもしれません。
身体鍼とか治療鍼みたいな?
携帯電話やeメール、デジタルカメラなどと美容鍼には決定的に異なる点があります。
デジカメやエレキが新しい技術を用いて、それ以前のものとははっきりと一線を画して登場したのに対して、
美容鍼は中国文化圏で発展してきた鍼灸伝統医学の一部だということです。
秦の始皇帝の時代から不老長寿は変わらぬ人間の願いです。
美容についても伝統的に鍼灸医学の中で取り組まれてきました。
また、美容鍼灸のパイオニアで第一人者である北川毅先生は、当初から東洋医学の考えに基づいた美容鍼灸を提唱されていました。
先生の最新著書、「健美同源」の新しい可能性を拓くHow to美容鍼灸にはその経緯が詳しく書かれています。
鍼灸は東洋の伝統医学です。
その発展の中で、様々な技法が生まれてきました。現代に生きる私たちは当然現代医学の知識も取り入れて診療を行っています。
美容鍼も鍼灸の一分野であり、鍼灸伝統医学を背景にしているものであるのは当然だと思います。
美容を目的として施術を行う場合においても、全身の陰陽や五臓六腑の状態が顔に表れているという東洋医学的なスタンスを守っていきたいと考えております。