心身一如で治療する東洋医学、鍼灸

こんにちは。
帰来堂鍼灸療院の坂光です。

毎日の鍼灸の臨床の中で心身一如ということをよく感じます。
鍼灸院ですのでやはり肩こりや腰痛を訴える患者さんが多いのですが、ストレスとの関係で痛みを引き起こしていると思えることがとても多いです。

肩こりであれば、緊張によって力が抜けることがなかったり、あるいはストレスによって交感神経優位の状態が継続することで痛みが生じたのではないかと思えることが多いです。

腰痛とストレスとの関連はテレビなどでも取り上げられることがあり、よく知られているところでしょう。

鍼灸師は心の問題について診断を下せる立場ではもちろんありませんが、患者さんのお話を伺いながら、痛む場所だけでなくその背景まで考慮に入れて、東洋医学的な解釈で治療を進めていきます。

昔見た映画。
「海外に亡命したアフガニスタン人女性ジャーナリストの過酷な旅を描いた、実話をもとにしたロード・ムービー。監督はモフセン・マフマルバフ。アフガニスタンの実相を映し出した映像は必見!」

PTSDと鍼灸「米軍 東洋医学を活用」

ストレスの最たるものの例としてPTSDがあげられるでしょう。

古い情報ですが、中日新聞の2010年7月4日朝刊に「米軍 東洋医学を活用」という記事が掲載されました。

兵士のPTSDは大変深刻な問題であることは言うまでもありません。
日本でも震災後にPTSDが多くみられると聞きました。無理もないことです。

「米軍 東洋医学を活用」という記事のコピーを今でも持っていて、帰来堂に置いてあります。
このような深刻な問題に鍼灸治療で寄与できるとしたらとてもいいことだということと同時に、効果がある可能性があるとなれば、アメリカでは鍼灸やレイキなども積極的に取り入れるのだということがとても印象的だったのです。

先日UCLAに鍼灸治療室があるという記事をご紹介しましたが、アメリカの方が現代医学と鍼灸のような代替医療が上手く共存しているのかもしれません。
私はこの件に詳しいわけではなく、印象に過ぎないのですが、鍼灸師としてそのようなことを感じることが時にあります。

「米軍 東洋医学を活用」記事

アフガニスタンに限らず、戦争というものはそもそもこの上なく非人間的なものであり、兵士であっても、巻き込まれた一般人であっても、幸いにして命を失うことがなかったとしてもその人間性を破壊してしまう恐ろしいものだということをしっかりと認識しないといけません。

以下に記事をご紹介します。

二〇〇一年の米中枢同時テロ後に米国が始めたアフガニスタン戦争での米兵の死者は、今年五月末に計千人に達し、厳しい戦闘が続いている。
〇三年開戦のイラク戦争と合わせ、個々の米兵の戦場派遣は複数回に及び、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断される米兵も〇七年以降、年間一万人超で推移。問題の深刻化とともに、米軍は東洋古来の鍼(はり)や日本発祥のレイキ(霊気)など、西洋医学に代わる「代替医療」を治療に積極的に導入し始めた。 (米南部テキサス州フォートフッド)

「家にいてもドアがばたんと閉まる音がすると、あわてて床に伏せ、もう(戦地ではないので)銃など近くにないのに、手に取ろうとしたものだ」
テキサス州オースティンの大学院で東洋医学を学ぶトニー・ベイルズさん(39)は、〇七年にイラクから戻りPTSDと診断された当時を振り返る。

最初の戦地派遣は〇三年に十カ月。二度目は〇五年から十六カ月に及び、衛生兵として、反米武装勢力の攻撃で死亡した米兵の遺体の収容に当たった。イラクでは陸橋の下などに爆弾が仕掛けられるケースも多く、「今でも(米国で)陸橋を車で通る時は怖い」と打ち明ける。PTSDとの診断後、最初は西洋式精神医学の治療を受け、抗うつ剤を投与されたが、かえって症状が悪化。不眠症への対応として自分でアルコールを用い始めた。

一方、イラクで背中を負傷した際に有効だった鍼治療が精神的な機能障害に対しても使われていると知り、〇七年夏、民間の医療機関で鍼治療を再開。最初の治療後に約三十時間も眠った。週一回の治療を続けるうち、数カ月でPTSDが改善した。

「ばかげた戦争だと感じる。でも、まだ親友たちが戦場にいるので複雑な思いだ」と話すベイルズさん。自らも鍼の技術を習得。自身と同じ症状に苦しむ多数の患者を助けるため「一生の仕事にしたい」と願っている。

米軍によると、アフガニスタン、イラクの両戦争に派遣され、PTSDと診断された米兵は、〇二年には百三十八人だったが、その後、急増。〇七年に一万一千六百六人と初めて一万人を超え、〇八年には一万四千八十一人、昨年は一万三千二百六十三人だった。

「米軍で、最初にPTSDの治療プログラムに鍼を導入したのは〇七年。この基地では年間約三百人に鍼治療をしているが、施設と人員を増やせば(患者数は)二、三倍にも増えるだろう」と陸軍フォートフッド基地の臨床心理学者ウェッシュ博士(67)は話す。

「PTSD患者は神経系統に極めて複雑な問題を抱えており、多くの兵士は痛みを訴える。頭痛は他の治療法ではあまり効果がないが、ここで行う鍼、マッサージ、レイキなどは、ほとんどのケースで痛みを軽減させ、有効に機能する」とウェッシュ博士。

手を使って体内のエネルギーを調整するとされるレイキは、米国立衛生研究所の研究対象。博士は「(二十世紀初めに)日本で生まれたレイキは一九四〇年代にハワイへ伝わり、その後、各地へ広まった。ここでは三人の専門家が患者に対処している」。
こうした代替医療を受け、症状が改善して再び戦地へ赴く米兵もいるという。