NHKBS世界のドキュメンタリー『果実のない木』

NHKBSで深夜に放送している海外ドキュメンタリーは良質な番組が多く、録画してよく観ています。
昨晩は『果実のない木』という不妊症に悩む西アフリカ・ニジェールの女性についてのドキュメンタリーが放送されました。
鍼灸師として不妊症に関心がありますが、それに加えて子どもを授からない女性のことやアフリカ、特に弱い立場の女性や子どもの状況には以前から関心があり、楽しみにしていました。

NHKBS世界のドキュメンタリー『果実のない木』

「不妊は女性のせい」とされるニジェールで、子供を授からないアイチャは、同じ問題を持つ女性たちを訪ね、生き方を見つめ直す。独特の映像美でアフリカ女性を描く仏作品。

アイチャは死んだ母親に語りかける。「なぜ、私は赤ちゃんを授からないの?」結婚後も子供ができない彼女は、呪術医を訪ね歩き、また同じ境遇の女性たちに体験談を聞いて回る。助産師のデラは、「私は子どもに恵まれなかった代わりにいくつもの出産に立ち会ってきた」と柔らかな笑顔で話す。番組の監督でもあるアイチャによる語りと、ニジェールの女性たちを鮮やかな色彩で描いた詩的な作品。女性ドキュメンタリー祭で最優秀賞を受賞。

  • 原題:The Fruitless Tree
  • 制作:Les Films du Balibari /Maggia Images(フランス・ニジェール 2016年)NHKホームページより

女性のこの物憂げな表情

石女とお腹の石門穴(婦人科、不妊症のツボ)

石女(うまずめ)という嫌な言葉があります。「せきじょ」とも読むようです。
現代では差別用語になるのではないかと思いますが、もう死語に近いのでしょうか?

「石」には「中身がぎっしり詰まっている」という意味があります。
例えば碩学の「碩」は石+頁(あたま)で頭に知識がぎっしり詰まっている、という意味です。

ですから石女はお腹に石のようなものが詰まっていて、子どもを産むことができない、というような意味なのでしょう。辞書には「固くて融通がきかない。働きがなくて不毛。物がそだたず価値が無い」という意味で、石田(作物が育たない田)と並べてあります。(学研「漢和大字典」)
いずれにせよ嫌な言葉です。

お腹のへその下に「石門」という重要なツボがあります。
石は「不通」を指し、不妊症になる危険のあるツボであることからこの名がついたと書いてある本もあります。(「針灸経穴辞典」東洋学術出版社)
私はこの説は採りません。

石門は別名が丹田ですし、1つ下にある関元穴と並んで、臍下丹田にある身体の元気の集まるところです。
この場合の石は「元気が集まっているところ」の意です。

「門」は多くのツボに使われている字ですが、これらは「氣の出入りする」ツボです。
出たり入ったりできるからこそ「門」なのであって、入ったら出られないような一方通行は門とは呼べません。

石門穴は身体全体の元気を補う重要なツボであり、また下腹部にあって、帰来穴と同様、婦人科の治療穴でもあります。
帰来堂鍼灸療院でのはりきゅう治療を通じて、子どもを授からないことで辛い思いをしている女性の助けになりたいと思っております。