こんにちは。
千種区池下の針灸院・帰来堂鍼灸療院の坂光です。

脈診についてのブログです。
鍼灸・東洋医学では四診と言われる方法で患者さんを診ます。
四診とは望・聞・問・切の4種類の診断方法です。
望診とは見て診断する方法で、顔色や舌を診ます。
聞診とは声などの音を聞き、体臭などの臭いからの診断も含みます。
問診は患者さんのお話をお聞きすること、切診は患者さんのお身体に触って診ることです。

診断と言う言葉を用いていますが、法的には診断は医師のみが行える医療行為になります。
古来用いられてきた言葉ですので、そのまま用いていますが、ここでは身体の状態やバランスを東洋医学的に観て、鍼灸施術の方針を決めるための方法ということで、法的な医療行為とは別の意味であることをご了解ください。

さて、脈診は四診の中では切診に含まれます。
脈診は日本の伝統鍼灸においては特に重視しており、大陸から伝来した鍼灸医学がわが国で独自の発展した技術の一例としてよいと思います。
脈診は奥の深い技術であり、私よりもそれを語るにふさわしい方が多くいらっしゃいますが、インスタグラムでちょっと面白い投稿にであいましたのでリポストしてご紹介させて頂きたいと思います。


Feeling blue? If you’re feeling depressed, fearful or vulnerable, use the three fingers (index, middle and ring fingers) of your right hand to press on your pulses on your left wrist, cover your forehead with your left hand, then visualize images that are related to the above feelings. Take deep breaths until the images and feelings dissipate.

和訳) 憂鬱な気持ち?落ち込んだり、恐く無防備な感じに苛まれているときには右手の人差し指、中指、薬指の3本の指で左手首の脈を取り、左の手のひらで額を覆ってみましょう。そして自分の感情に関連したイメージを思い浮かべましょう。そのイメージや感情が消え去るまで深呼吸をして下さい。

ここに書かれているのは、ある種の瞑想法といえるでしょうか?私は初めて目にしましたが、とても興味深い内容です。
自分の手のひらを額に当ててリラックスできるようにしながら、感情をイメージ化しながら深い呼吸によって自らを癒していく。そして同時に自分の脈を診て、身体の反応も感知するということですね。

憂鬱な気持ち、あるいは恐れを抱いている時の脈を論じることは可能です。
私の場合でも、心の状態と身体(五臓)の状態を照合しながら、全体のバランスがどうなっているのかを診ることで施術の方針を決めます。

この方法の場合は、そうした東洋医学的な理論は措いて、どういう感じがするのか、どんなイメージが浮かぶのかという感じることに焦点を当てているように思えます。
イメージを用いながら、深い呼吸と手当てによって癒すことの変化を3本の指で感じるというのは、脈を診るためのよい訓練になるように思います。
鍼灸医学とは、東洋医学の理論に立脚しながら、同時に五感を用いること、感じること、イメージすること。理論と感覚の両方を同時に活用するものです。

現代では欧米でも東洋医学を実践している方が多くあります。東洋医学が西洋に渡り、私たちが思いもよらない方法を考え出されているのでしょう。歴史的には中国で生まれた鍼灸医学がアジアへと広がり、日本にも朝鮮半島経由で伝来しました。日本で鍼灸は独自の発展を遂げて今日に至ります。朝鮮半島やベトナムなどでもそれぞれ発展し、伝統医療の一翼を担っています。

私はNPO法人アフリカ支援 アサンテ ナゴヤの活動の中で、イギリスの鍼灸師が設立した団体MOXAFRICAと出会いました。その方たちはオランダで日本の伝統鍼灸を学ばれ、診療に用いていらっしゃいます。日本の鍼灸がこうしてヨーロッパに広がっているというのはとても素晴らしいことです。