慢性の頭痛に悩まされている方は大変多いようで、帰来堂にいらっしゃる患者さんにも多く見られます。

40代の女性で10年来の肩こりと頭痛に悩まされてきた方は、2回目の治療時には頭痛が軽くなったと喜んでいただきました。

また頭痛以外にも様々な症状で辛い思いをしていらした30代の女性も鍼灸治療を続けることで、頭痛、身体のだるさ、のぼせといった症状が軽快しました。この方の場合も頭痛そのものは3~4回の治療で変化が見られ、楽になっていました。

こうした頭痛のほとんどが偏頭痛か緊張性頭痛といわれるもので、鍼が大変よく効く疾患です。
頭痛はWHO(世界保健機構)が認めた適応症の一つですし、昨年末には「慢性の頭痛には薬よりも鍼の方が有効である」という研究発表がなされました。

慢性の頭痛、はり治療が薬より有効=米研究

[ワシントン 1日 ロイター] 慢性的な頭痛の軽減にはアスピリンなどの薬よりもはり治療が効くとの調査結果を、米デューク大の研究者らが1日、専門誌Anesthesia and Analgesiaで発表した。

片頭痛や緊張性頭痛など慢性の頭痛患者約4000人が対象となった複数の研究を再調査したところ、はり治療を受けた患者では62%に改善が見られたのに対し、薬の服用では45%だった。

また、実際のはり治療では53%に改善が見られたが、医療対象とならない位置にはりをうつ偽の治療では45%だった。効果が現れるには平均で5―6回の治療が必要だった。ロイターニュース

この記事にもあるように鍼灸治療は頭痛に対して大いに有効なのですが、実際には頭が痛いからと鍼灸院にいらっしゃる方は世間的には少数派で、ほとんどの方が鎮痛剤を愛用しているのではないでしょうか。

鎮痛剤は最近コンビニでも買えるようになったようですし、手軽に頭痛を抑えるには何より便利なものでしょう。
しかし薬である以上やはり副作用があります。
また飲み続けているとだんだん効かなくなってきます。それでさらに強い薬を求めたり、自己診断で飲む量を増やしたりする人も少なくないようですが、これは大変危険なことです。

鍼灸は自然療法。生来備わっている自然治癒力によって痛みを抑えます。

この稿で鍼灸による頭痛の治療をお勧めしたい理由は、上記の記事にあるような鍼の治効が優れているということだけではありません。

鍼灸は頭痛を東洋医学理論、具体的には陰陽のバランス、氣や血の流れを調えることによって治療します。
身体のバランスを調えることによって、痛みを自然に緩和させるように仕向けるのです。
身体に元々備わっている鎮痛作用を引き出す、と言ってもよいかもしれません。

あえて言えば、鍼灸治療と鎮痛剤とではまったく逆の治療効果です。
鍼灸治療は続けることでだんだん効かなくなったりすることはありません。
逆にストレスや冷えなどの頭痛の原因となっていた様々な問題が解消され、頭痛がおきにくい身体になってきます。

自然治癒力による鎮痛をすること。
身体全体を調える効果があること。
これこそが鍼灸治療の優位点です。