https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/202004/CK2020042402100035.html中日新聞の記事

4月22日の中日新聞夕刊に
<新型コロナ>習近平政権、はりや漢方薬「有効」 国策で推進、科学的評価は難しく
という記事が掲載されました。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/202004/CK2020042402100035.html

中国政府は、新型コロナウイルス感染症への治療法として、はり治療や漢方薬などを用いた中国伝統の中医学の有効性を盛んに訴えている。背景には、伝統文化を礼賛して愛国心の発揚につなげようとする習近平(しゅうきんぺい)政権の方針がある。しかし国策として中医学を後押しすることにより、治療方法が科学的な評価を離れ、政治的な思惑の影響を受ける危険性も指摘されている。 
とあり、全体に批判的な内容です。

記事には、広西中医薬大学の劉力紅先生のインタビューも載っており、興味深い内容です。

伝統医学と感染症

中国からの情報を鵜吞みにできないということはあると思います。
インターネットで「北京のCOVID-19患者の87%が伝統的な鍼と漢方治療を受け、患者の合計有効率は92%であるとしました。」という記事を読みましたが、情報源がどこにあるのかよくわからなかったこともあり、流石にそのまま信用する気持ちにはなれませんでした。

でも、だからといって、鍼灸や漢方薬といった中国の伝統的な医療が無効であるとは全く思っていません。

くすりの博物館「学芸員のちょっとコラム」から写真を頂きました。

中国伝統医学においては感染症治療の長い歴史があります。
最も有名な書物は、約2000年前に書かれた『傷寒論』で、後漢末期から三国時代に張仲景が編纂した伝統中国医学の古典で、内容は伝染病の治療法が中心です。

私は中国の天津中医薬大学での研修に参加して、勉強させていただいているのですが、天津からも武漢に医療チームが派遣されたと聞いています。
現地での診療は本当に大変だったと思いますが、また報告をお聞かせいただける機会を楽しみにしております。

中国政府が伝統医療を国策として後押ししているからと言って、中医学を政治的に評価するのではなく、鍼灸や漢方薬の効用をきちんと評価して頂きたいと思います。