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病気”とはなにか。
便利なWikipediaを参照してみましょう。

病気(びょうき、disease)、病(やまい)は、人間や動物の心や体に不調または不都合が生じ、医療による改善が望ましい状態であることを言う

  • 病気とは、心ないし身体、あるいはその両方に生ずるもの
  • 病気とは、不調または不都合
  • 病気とは、医療による改善が望ましいもの

以上のように定義されていますが、病気は曖昧な概念であり、何を病気とし、何を病気にしないかについては、政治的・倫理的な問題も絡めた議論が存在するとしています。
もっともなことです。

Wikipediaでは病気を「客観的判断に立つ立場」と「主観的判断に立つ立場」とに分けて論じています。

「客観的判断」とは“医療による改善が望ましいもの”、つまり医療による診断によるものということでしょう。
それに対して「主観的判断」とは“心や身体の不調または不都合”、つまり何がしかの自覚症状によるもの。

主観的には病気であるけれど客観的にはそうではない、ということは多々あります。
具合が悪いので病院に行ったけれど、診察の結果「どこも悪くない」と言われたというケースです。
病院などでは検査などの「客観的判断」によって医療を施しますので、ご本人としてはかなり辛い症状があり、傍目にも明らかに具合が悪そうなのに、検査をしても何も出てこないということは実際よくあることです。(これはいい悪いの問題ではないと思います。)

このような状態は「不定愁訴」と呼ばれます。

主な不定愁訴としては、下記のような症状があげられます。(参照:Wikipedia、不定愁訴の手引き健康用語辞典

  • 倦怠感
  • 肩こり
  • 頭痛
  • めまい
  • のぼせ
  • 耳鳴り
  • 動悸
  • 息切れ
  • 四肢の冷え
  • 食欲不振

こうしたことで鍼灸治療を受けてみようと帰来堂にいらっしゃる方は多いですし、実際鍼灸は「不定愁訴」には大変有効な療法だといえます。

鍼灸、東洋医学は心身のバランスを重視する医学です。
簡単に言えば、バランスがとれていれば健康であり、バランスが崩れていれば病んでいるとみます。

「不定愁訴」とは検査に表れるような身体の異常はないけれど、辛い症状は自覚される。
つまりはバランスの崩れが症状として表れているといえるでしょう。
具体的にはストレス、過労、不規則な食事、身体の冷えなどが原因となっていることが多いです。

鍼灸治療においては「四診:望・聞・問・切」と言われる方法で治療方針を決定します。
すなわち顔色、臭い、声の調子、脈、お腹の堅さなど身体全体を診て、患者さんの訴えをよく聴いて、心身の状態をトータルに判断するのです。
そのうえでその方に合わせた治療を行います。
同じような症状でもまったく違った経穴を選択することもしばしばです。
症状や病名によって治療するわけではないからです。

『病気を診るのではなく、病人を診る医学』といわれる由縁です。